Ver.6.3.0で実装されたOnTime同期ハブとは?
OnTimeはリリース当初からEWS APIの通知機能を利用
OnTime for Microsoftのリリース以来、OnTimeとExchangeメールボックスのイベントのリアルタイム同期は高い評価を得てきました。リリース当初から、OnTimeはEWS APIを活用した機能を提供しており、リアルタイム同期もMicrosoft ExchangeのEWS APIのStreaming Notification機能を利用して実現していました。
2023年9月20日にMicrosoftのEWS APIについての発表
しかし、2023年9月20日のMicrosoftの「Retirement of Exchange Web Services in Exchange Online」に関する発表では、以下のように告知されています。
Today, we are announcing that on October 1, 2026, we will start blocking EWS requests to Exchange Online.
「本日、2026年10月1日以降はExchange OnlineのEWSへの要望は受付ないことをお知らせいたします。」
発表内ではつぎのように続きます。
While the EWS components of the service will continue to receive security updates and certain non-security updates, product design and features will remain unchanged. This change also applies to the EWS SDKs for Java and .NET, as well.
サービスを提供するためのEWSコンポーネントには引き続きセキュリティ更新プログラムと一部の非セキュリティ更新プログラムが提供されますが、製品の設計と機能は変更されません。この変更は、Javaおよび.NET向けのEWS SDKにも適用されます。
Despite today’s announcement, EWS is still available and supported for use in production environments. But we strongly suggest migrating to Microsoft Graph to access Exchange Online data and gain access to the latest features and functionality.
また、EWS APIは引き続き本番環境でご利用いただけますが、Exchange Onlineデータにアクセスし最新の機能を利用するにはMicrosoft Graph APIへの移行が強く推奨されています。
Today’s announcement and the retirement of EWS apply only to Microsoft 365 and Exchange Online (all environments); there are no changes to EWS in Exchange Server. EWS will continue to be fully supported for Exchange on-premise mailboxes.
さらに、本日の発表とEWSの廃止はMicrosoft 365とExchange Onlineにのみ適用され、Exchange ServerのEWS APIには変更はありません。オンプレミスのExchangeメールボックスでは引き続き完全にサポートされます。
要約すると「Exchange Online向けのEWS APIは今後もセキュリティ対策が行われながら利用可能ですが、ExchangeやOutlookの仕様変更に対する更新や改善は行われません。最新の機能を利用するにはMicrosoft Graph APIの利用が推奨されます。オンプレミスのExchangeメールボックスでは引き続きEWS APIを利用。」となります。
2022年より新しいイベント同期エンジンの開発を着手
OnTimeはこの発表以前の2022年からMicrosoft Graph APIを積極的に採用し、一般的なアクションやディレクトリ情報の取得などは既にEWS APIからMicrosoft Graph APIへの移行が完了しています。同様にEWS APIによるイベントのStreaming Notification機能を利用せず、Microsoft Graph APIを利用した新しい同期方法の準備を進めてきました。しかし、Graph APIはStreaming Notification機能をサポートしていないため、APIの置き換えだけでなくExchange Onlineのイベント更新情報を購読する新しい方法を考える必要がありました。
そしてついに、EWS APIが提供していたStreaming Notification機能を包含する新しいイベント同期エンジンを開発することができました。この同期エンジンをOnTimeサーバーとは別の独立したプログラムとして「OnTime同期ハブ(英語名:OnTime Subscription Hub)」と名付けました。
技術詳細は非公開ですが、この新しいOnTime同期ハブを利用することで、以下のような機能を提供できるようになります。
- OnTimeサーバーとは独立し、物理的に別のサーバーに実装可能。
- 1つのMicrosoft 365テナントあたり約5万アカウントの同期をサポート。
- クライアント向けUIを提供するOnTimeサーバーを複数設置できるため、冗長化と負荷分散を実現。
もちろん従来からの好評の複数テナントの同時接続によるマルチテナント機能は継承。
新しいイベント同期機能のOnTime同期ハブの構成について
従来のOnTimeサーバー内に実装されてきた同期機能と新しいOnTime同期ハブの構成の違いを図式化しました。
新しく開発されたGraph APIを利用したOnTime同期ハブは既存のOnTimeサーバーと同じWindowsサーバーにも別のWindowsサーバーにも構築可能です。
OnTime同期ハブを別のサーバーに構築した場合は、OnTimeサーバーを冗長や負荷分散の構成を準備できます。
2026年も正式アナウンスまで、OnTime同期ハブを利用せず従来のEWS API方式を継続して利用できます。
また、OnTime同期ハブを構築後でも、従来のEWS API方式に戻すことができます。
混同しやすいですが、OnTime同期ハブの機能はあくまでもイベント情報の同期だけです。
イベントの作成や編集・削除などのアクションは、従来からもOnTimeサーバーからMicrosoft Graph APIを利用して実行しています。
OnTime同期ハブのシステム要件(2025年5月現在)
オペレーティングシステム:
Windows Server 2016 以上 / Windows 10 以上
CPU:
OnTime同期Hubは1つのCPUのみ使用します。OSの動作を向上するためにCPUの追加を推奨します。
メモリ:
メモリは同期するメールボックス数によって異なります。1つのメールボックスあたり1KB 未満を使用します。
ディスク:
OSの要件に加えて1GB が必要です。1GBはプログラムファイルとログファイル用でメールボックスの通知情報は保存しません。
ネットワーク:
OnTimeサーバーからポート番号80/443で受信接続。ポート番号は変更可能。
MicrosoftからのWebhook用にポート番号443で受信接続。
日本でのOnTime Group Calendar及びOnTime同期ハブ利用について
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